溜め込まないことが大事
医療従事者の心構えとして特に自覚しておきたいのは、対象が病人であるということだ。体の不調を抱え、それに対する不安や心配を持つ人たちに関わるというのは、大きなエネルギーを必要とすることである。
看護師の場合、ナースコールで頻繁に呼び出されたり夜勤や残業が多かったりと、体への負担が大きい。それに加え、患者の言動に影響されて、大きなストレスを抱えてしまう可能性もある。しかし、そのようなときに「自分の一番の目標は、とにかく患者の治癒である」ということを認識することだ。そして、そのために同僚や医師たちとの連携を大切にしていかなくはならないという心構えができていれば、随分乗り越えやすくなる。
さらに大変なケースとして、ホスピスなど患者の死に向き合う機会が多いケースが挙げられる。この場合は、治癒ではなく患者の死や遺族の悲しみに向き合わなくてはならない。いくら経験を積んでも、人の死に立ち会うことが多いというのは大変なことだ。また、ホスピス勤務の看護師は、燃え尽きるような心境になって辞めることが多いとも言われている。
そのような時は、この仕事の大変さを認識した上で、休みの日には仕事のことを忘れられるようなスポーツなどをやるといいだろう。それでも気持ちが晴れないのであれば、職場の信頼できる先輩や看護師仲間に相談してみるのもプラスになる可能性がある。そして、何をやっても乗り越えられないと感じたときは、遠慮せずに心療内科やカウンセリングを受診することだ。いくら医療関係者とはいえ誰もが人間なのであり、大変なときには他の医療のプロに頼ることをためらわないというのも、大切な心構えといえるだろう。